突然、見知らぬ番号から電話がかかってきます。「警察の○○と申します。あなたの口座が犯罪に使われています」——こんな電話を受けたことはありませんか?

これはニセ警察詐欺と呼ばれる詐欺の典型的な入り口です。2025年は、この手口による被害額が約974億円(警察庁発表)に達しました。特殊詐欺全体の約7割を占める、いちばん被害の大きい詐欺です。

📋 この記事でわかること
  • ニセ警察詐欺の典型的な手口と、よくあるセリフ
  • 「+」から始まる国際電話番号の見分け方と無料ブロック方法
  • かかってきたときの対処法と、家族にできること

ニセ警察詐欺とは

ニセ警察詐欺とは、警察官・検察官・金融庁職員などを名乗って電話をかけてきて、現金や口座情報をだまし取る詐欺のことです。「オレオレ詐欺」の進化版とも言えます。

警察庁の2025年統計(暫定値)によると、ニセ警察詐欺の被害件数は約1万件超、被害額は約974億円に達しました。オレオレ詐欺(1,121億円)全体の約87%を占め、特殊詐欺全体で見ても最大の被害類型です。

📊 なぜ今これほど増えているのか

かつては「高齢者がだまされる」というイメージでしたが、2025年は30〜40代が被害者の中心になりつつあります。SNSや広告を通じて「口座の不正利用」という話題が日常化し、電話の内容が以前より信じやすくなっているためです。1件当たりの被害額も増加しており、2025年は平均約521万円に上りました(警察庁)。

参考:警察庁 SOS47 特殊詐欺対策ページ

典型的な手口の流れ

ニセ警察詐欺には、決まったパターンがあります。手口を知っておくだけで、ぐっとだまされにくくなります。

①「警察官」から第一報
「○○警察署の田中と申します。あなたの口座が、詐欺グループに悪用されています。すぐに確認が必要です」
②「検察官」が登場して信頼させる
「捜査の関係で東京地検の山田検事に代わります」と別の人間が出てきます。複数の「公的機関」が連携しているように見せることで、本物らしさを演出します。
③「口座を守るため」お金を動かすよう誘導
「あなたの口座を守るために、別の安全な口座に移しておく必要があります」「現金を引き出して、指定の場所に来た係員に渡してください」
🚫 絶対にしてはいけないこと
  • 電話で言われた口座にお金を振り込む
  • 自宅に来た「係員」に現金を渡す
  • ATMを操作して「口座を移す」
  • マイナンバーカードや通帳・キャッシュカードを係員に預ける

本物の警察や検察が、電話でこのような指示をすることは絶対にありません

「+」番号の正体

ニセ警察詐欺の電話で、「+81-90-xxxx-xxxx」のように「+」から始まる番号が表示されるケースが急増しています。警察庁の調査では、2025年のニセ警察詐欺電話の約73.5%が国際電話番号(+で始まる番号)からかかってきていることがわかっています。

なぜ「+」番号を使うのでしょうか。それは、海外から電話をかけることで発信元の特定が難しくなるからです。詐欺グループは海外の電話サービスを利用して、日本国内の人に電話をかけています。

📱 スマホでの「+」番号の見え方
  • 画面に「+81 90-xxxx-xxxx」や「+1 (xxx) xxx-xxxx」のように表示される
  • 「+」のあとに国番号が来ます(81=日本、1=アメリカなど)
  • 日本の警察・検察・金融庁が国際電話で連絡してくることはありません

「+」番号から見知らぬ電話がかかってきたら、出ないことが最善策です。かけ直したくなったとしても、折り返しにも注意が必要です(折り返しを利用した詐欺もあります)。

国際電話を無料でブロックする方法

「+」で始まる国際電話を、スマホ(携帯電話)に着信させないようにできます。「国際電話不取扱受付センター」への登録で、無料でブロックできます

登録方法(2通りあります)

方法1:電話で申し込む(スマホが苦手な方におすすめ)

  • 電話番号:0120-210-364(通話料無料)
  • 受付時間:平日9時〜17時(自動音声は24時間)
  • 登録したいスマホ・携帯電話から電話します

方法2:ウェブサイトから申し込む

💡 登録すると何が変わる?

登録後は、「+」で始まる国際電話がかかってきてもスマホが鳴らなくなります。発信者には「この番号は国際電話をお断りしています」というメッセージが流れます。通常の国内電話(03-xxxx、090-xxxx など)は引き続き使えます。

詳しくは警察庁「みんなでとめよう!!国際電話詐欺」もご参照ください。

かかってきたときの対処法

電話がかかってきて「少し変だな」と感じたら、次のことをしてください。

① まず電話を切る

「失礼します」と言って、そのまま切って構いません。本物の警察や検察なら、必要な場合は正式な文書を送ってきます。電話を切ることで怒られたり、困ったことになったりすることは絶対にありません

② 「名乗った機関」に自分で電話して確認する

「○○警察署の田中です」と言われたら、電話帳やネットで調べた番号(かかってきた番号ではなく)に自分でかけ直して確認しましょう。本物であれば担当者につないでもらえます。詐欺であれば「そういう事案はありません」と言われます。

③ 家族や周囲の人に相談する

「こんな電話がかかってきたんだけど」と、すぐ家族や知人に話してみてください。一人で判断しようとすると、巧みな言葉に引き込まれやすくなります。相談することで冷静になれます。

📞 相談・通報の窓口
  • 消費者ホットライン:188(いやや!)— 消費生活センターにつながります。無料です
  • 警察相談専用電話:#9110 — 犯罪被害の相談は24時間受け付けています
  • 被害に遭ってしまった場合は、すぐに110番(警察)

家族にできること

高齢の親がいる方に、ぜひお願いしたいことがあります。詐欺は「うちの親に限って」と思っているご家族が最も油断しています。

  • 「こんな手口があるよ」と話す機会を作る——情報を知っているだけで判断力が上がります。ニュースのタイミングで話すのが自然です
  • 国際電話ブロックの登録を一緒にする——0120-210-364 に電話するだけです。数分で終わります
  • 「変な電話がきたら必ず電話して」と伝えておく——事前に「何でも相談して」と言っておくと、被害直前に連絡がくることがあります
  • 留守番電話を設定する——出なければ被害に遭いません。「知らない番号は出ないで、こちらから折り返す」を習慣にしてもらうだけで大きな効果があります
⚠️ 「自分は大丈夫」は最も危険な心理

「自分はだまされない」と思っている方ほど、被害に遭いやすいことが調査でわかっています。詐欺グループはプロです。「知識があれば大丈夫」ではなく、「おかしいと思ったら切る・相談する」という行動ルールを決めておく——これが身を守る最後の防波堤になります。